2011-05-01から1ヶ月間の記事一覧

悪魔の涎・追い求める男 フリオ・コルタサル ☆☆☆

どこかシュルレアリスティックでミステリーめいた場面展開。都会っぽいのだが、かといって格別洗練されてはいない。シュルな作品は鼻につくか、キッチュかのどちらかに二分されると常々感じる。正直なところ、その2つを脱した作品には未だ出会っていない。 …

エレンディラ ガルシア・マルケス ☆☆☆☆

遠い国の物語には終わらない、ただの幻想に留まらない。 短かな物語の数々に、残酷な芯と優しい肌触りを感じた。 - おすすめは「この世でいちばん美しい水死人」。 綴られた時間はかくも美しく遡り、 語られない時間が物語を超えて延びていく。

伝奇集 J.L.ボルヘス ☆☆☆☆

図書館の中のボルヘス、ボルヘスの内の図書館。 入れ子の空間、「円環的」な迷宮、夢。彷徨いとまどろみの体験。 - 初の南米旅行に携えたけれど、アンデスの大自然にはおよそ似つかわしくない。ひっそりベッドで読もう。「円環の廃墟」「バベルの図書館」を…

蜘蛛女のキス マヌエル・プイグ ☆☆☆☆

獄中のホモセクシャルとテロリスト。 映画の語り、二人の対話、心中の対話が綴られる。政治的・社会文化的背景の読込みもできようが、 映画的な話の進行を単純に楽しんだ。 - 対話形式の表現手法にすっかり影響され、頭の中で擬似的な物語が始まった。登場す…