2013-01-01から1ヶ月間の記事一覧

WORK SHIFT リンダ・グラットン プレジデント社 ☆☆

“CHANGE”はどこにいったのだろう。あの言葉は大きな期待をもたらした。本書の掲げる“SHIFT”は似て非なるものだろうか。生き方、働き方を自己の責任で個々人がかえようとするとき、それはコインの裏表をひっくり返すようなものではなく、金貨をおもって銅貨を…

魔術的リアリズム 20世紀のラテンアメリカ小説 寺尾隆吉 ☆☆☆

非日常が蔓延する世界に入り込む眩暈、自分がいたはずの現実が暴かれる衝撃。「百年の孤独」ほど、語りが築く濃密な世界に出会ったことがない。言葉よりも身体が明確に記憶する、あのうちのめされた読後感。それ翻訳するのに適役の一冊。(「族長の秋」や「…

不揃いの木を組む 小川三夫 ☆☆☆

「不揃いが総持ちで支え合う」からこそ、逞しくなる。塔も、組織も。そして「ヌスミとスベリ」、つまりは気の利いた余裕が要るのもまた、木も人間同士もおなじ。

酒肴酒 吉田健一 ☆☆☆

それでは我々の舌は年をとるに従って荒れて来るのだろうか。それよりもむしろ、我々は先ず三色アイスクリーム、あるいは親子丼に眼を開かれて、次第に複雑な味を覚えていき、そこにも同じ境地を味わうことになるのに違いない。そこにも、であって、そこにだ…

インド夜想曲 アントニオ・タブッキ ☆☆☆☆

「本のなかで僕はインドで失踪した人間なんだ。こう言えるかもしれない。もうひとりの人間が僕を探している。だけど、僕は絶対に見つかりたくない。」「それじゃ、あなたはだれなの、本のなかのあなたは」「それは最後まで書かない」 最終章より

2013