2013-03-01から1ヶ月間の記事一覧

三島由紀夫レター教室 ☆☆☆☆

手紙のやりとりで構成された群像劇。渦巻く感情と思惑、ベタな恋愛があれば、ちょっとしたサプライズもあって、愉快痛快。(読書倶楽部推薦図書) ・・・・・・・・・・・・・・・・「今の若い人は、言葉以外の経験のところで詩の感覚をつかんでいくんじゃな…

ブータン、これでいいのだ 御手洗瑞子 ☆☆

“ブータンってみんな幸せそう―現地で公務員として働いた著者が語る、「幸福」の国の秘密”(カバーコピーより)・・・・・・・・・・・・・・・・講演会の企画にあたり、ブータンのにわか勉強をはじめた。軽い語り口だが、「なるほど」と納得する知見もある。…

ときどき意味もなくずんずん歩く 宮田珠己 ☆☆

「そうそう、旅ってそうなんだよ」と相槌うったり。「やりすぎでしょ」と目を見張ったり。面白くもちょっと忙しいエッセイです。(読書倶楽部・K嬢推薦図書)

ペンギン・ハイウェイ 森見登美彦 ☆☆

「泣くな、少年」 郊外の新興住宅地に突如あらわれたペンギンたち。単なる珍風景ではすまなかった!つぎつぎにつながるたくさんのエレメント。それはちょうどワームホールのように。個性的で、でも「たいへん」親近感のわくキャラクターが織りなす一夏のファ…

犬と鬼 知られざる日本の肖像 A・カー ☆

判っていることを悉く言い立てられるのはいい気がしないもの。「日本は日本でなくなった」―この国の誤った近代過程を糾弾する名著。・・・・・・・・・・・・・・・・予測されたことだが、本書の一字一句を追えなかった。 現実。ものをつくろうとしても、本…

聖の青春 大崎 善生 ☆☆

一手、一局、すべてが命がけの覚悟。重篤な病をかかえた棋士・村山聖は、まっすぐに将棋盤に向かい、師匠と仲間と向き合い、己と対峙する。力強く、はかない。 (新潮学芸賞/ストイックランナーMさん推薦図書)

アンデスのリトゥーマ バルガス=リョサ ☆☆☆☆

理解を超える異物。変移のない隔絶。それほどの他者に出会うことがあるだろうか。その境界の絶対性を、どこまで信じうるだろうか。■他者 土着文化と征服者の西洋文化は、ラテン文学において本質的な矛盾を孕みながら相克する。本作品は、その宿命的な構図を…