犬と鬼 知られざる日本の肖像 A・カー ☆

判っていることを悉く言い立てられるのはいい気がしないもの。「日本は日本でなくなった」―この国の誤った近代過程を糾弾する名著。

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予測されたことだが、本書の一字一句を追えなかった。
現実。ものをつくろうとしても、本質的なものづくりができない。自他の別。他人の痛みは想像でしか感じられない。それへの諦め。容赦ない他人への批評の狡さ。それも定量的ではない大袈裟な言い回しで。(もちろん、筆者が日本の文化人として素晴らしい知見をもち、活動をしていることは重々承知だが。)
考えに気持ちが先行する読み方は不毛だ。本を閉じたものの、自身の問題と不協和音がやまない。