2013-10-01から1ヶ月間の記事一覧

とおりすがりの本たち

譲ってもらったり、食事を待つまに手にとったり。腰を据えて本と向き合えないときは、そんな出会いがうれしい。

ひとり暮らし 谷川俊太郎 ☆☆ 13/10/27

ふたり暮らしをはじめた同期が残していった一冊。 「葬式には未来というものがないから何も心配する必要がない」と谷川俊太郎はいう。葬式をあまり知らないが、私も結婚式は苦手だ。演出が欺瞞と商売っ気に満ちている。 物語には救いを、人生には幸せをと、…

きょうも、いいネコに出会えた 岩合光昭 ☆☆ 13/10/30

いきつけのランチレストランで手に取った一冊。1枚写真を繰るごと、感覚のあたらしさを感じた。 視点を低く、焦点をきゅっと絞る。ネコの眼でこんなにもかわる、時間のはやさ、光のタッチ、ネコとひとの表情。

図書室の海 恩田陸 ☆☆☆

はじめて恩田陸を読みました。良質な掌編集。懐かしさと不気味さが表裏一体です。「イサオ・オサリヴァンを捜して」はリョサの語りに通じるかもしれません。ぐいぐいと読み進める感覚を楽しみました。

終の住処 磯崎 憲一郎 ☆☆

思わせぶりな語りのリズム、旋律、響きと収束。それらをなめることはできたけれど、内奥になにかを見出すことはできませんでした。

死に急ぐ鯨たち/方舟さくら丸 安部公房 ☆☆☆

見えない毒に侵されながら「おもてなし」をする国。この異様な終末を正鵠に射ていた。今、ぜひ読みたい安部公房の小説、評論。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・明日は今日のようにやってくる。逃れられない危機の存在を知っていても、…