2011-06-01から1ヶ月間の記事一覧

それからはスープのことばかり考えて暮らした 吉田篤弘 ☆☆

コンビニパンの包装をあける音、だいっきらいです。毎日、そんな味気ない音をたてて朝を迎えていませんか?現代人、サラリーマンのなれの果てです。(そういう私もバナナばかり食べているけれど、)本当は季節の彩とひとの手が入ったものを口にしたい。そこ…

読んでいない本について堂々と語る方 ピエール・バイヤール ☆☆☆

楽をしよう、という本ではありませんのであしからず。でもちょっとずるい本です。それは本の中身そのものではなく、筆者のことなのですが。 - 小説もどき、を書こうとしたことがある。あまりに押しつぶされそうな状況で、表現の捌け口が必要だったのだ。個人…

もうすぐ絶滅するという紙の書物について ウンベルト・エーコ 、ジャン=クロード・カリエール ☆☆☆☆

書物の神聖化(文化史)、メディアの耐久性(技術史)、物質的なものとしての本とそこで語られるもの・・・「書物」とはキケンすぎるテーマだ。にもかかわらずエーコとカリエールは仙人さながらに対話を繰り広げる。ちょっと足を踏み出す感じできいてみてほし…

青春の忘れもの 池波正太郎 ☆☆☆

滅茶苦茶にみえて、どこかまっすぐな青春時代。戦争の時代にもかかわらず、どこかあっけらかんとした人々の姿が見えてくる。それは本当にそうだったのかもしれないし、池波正太郎の眼からみたからそうなったのかもしれないけれど。覇気のない今だからこそ前…

ちょっと反省

大原則を忘れかけてました。 ・上段は客観的なひとこと。書評のようなイメージ。 ・下段は個人的なこと。射程距離を伸ばし今の自分をと結びつける。 そして太平洋をいったりきたり。 イベリアに渡ったものの、南米に戻り日本にも顔を出しています。 小説を離…

トーキョー・ストレンジャー 姜尚中 ☆☆

記憶装置としての都市。そこに身をおきながらも、ある距離をもって都市を客観視し、自分自身をも捉え直す。そうして肥大化した自己、単純で潔癖な内向きの精神から解放されることが今の私たちには必要なのだという。 ごもっとも(で特に目新しい記述もないの…

あらゆる名前 ジョゼ・サラマーゴ ☆☆☆☆

戸籍管理局。そこでは無数のあらゆる名前が生と死に仕分けされ、「薔薇と菊とを半々に混ぜ合わせたような芳香の要素」が漂う。 あなた自身が果たして気づくだろうか。そのどちらに自分が入れられていようとも、何かの拍子にどちらからも自分が消えていようと…

黄色い雨 フリオ・リャマサーレス ☆☆☆☆☆

朽ち果てていく村、苔がむしていくだろう体、死の息吹である黄色い雨− 言葉によって時間がこうも緩やかになり、早まり、濃くも淡くもなるものか。 そして空間はこれほど優しくも厳しくもなるものか。非常な衝撃を受けた。 - オースターやサリンジャーの柴田…