日本

がんばりません 佐野洋子 ☆☆☆☆

ちょっと卑屈な自分を笑っちゃう、この小気味よさ! 「本好き女の離婚確率」なんてのもあるけれど、いまじゃあ「本好き女の孤独確実」なわけ。「ふとんを生涯の伴侶」にわたしも、ときどきわめいたって、まるまってたって、いいじゃない。

生きるための建築展 @東京都美術館

◆二週連続の上野 先週はマグロ丼、今週は伊勢ろくの親子丼。武田百合子のエッセイをおもいながら秋の上野を歩く。独特の雰囲気がたまらない。◆生きるための建築展 ドイツからの友人、アーキテクトと鑑賞。彼女は昨日「塔の家」を訪れたという。今も昔も本質…

やればできる学校革命 武藤義男・井田勝興・長澤悟

福島県三春町。1980年代から十数年にわたる、町の教育・学校づくり。教育者と設計者による記録、文中に挿入された生徒や保護者の手紙など、「学校」という社会を複眼的にとらえるヒントとなる。 「子どもとしての生き方に怠惰」になっている、という武藤氏の…

独立国家のつくりかた 坂口恭平 講談社現代新書 ☆☆

味見 出来合いのケチャップにソースと醤油をぶちまけたよう。表現といい、書く姿勢といい、非常にマズイ。が、ともかく騙されたと思って食べてみた。味はさておき、「独立国家」をつくってしまう行動力には舌を巻く。それは既存の常識社会にうまくパラサイト…

鈍感力 渡辺淳一 ☆☆

今更よんだ「鈍感力」。わたくし個人にもっともかけた能力がまさしくこれなのは重々承知であって、できることならとっくに身につけているわけだし、本に処方を求めたわけではないが、それにしても鈍感力万歳をしているだけであまり役には立たない一冊。悲劇…

ひとり日和 青山七恵 ☆☆☆

好感のもてる素直な小説。単純ではなくとらえやすくもない二十歳の主人公の視線に、思わず自分のそれを重ねてしまう。 それにしても本屋に平積みにされた文庫をみると、ほんと「ひとり」だらけの日本なんだな。私は、梶井が檸檬を置いた、あのころの本屋にい…

土地と日本人 司馬遼太郎(対談集)☆☆☆(まだ読んでいる途中…)

学生のころちょっとヤクザな恩師に言われたのは「100マンあったら土地をかっておけ」。かかりつけの漢方医にいわれたのは私は「土地」業?に縁があるらしく(この放浪癖からして全くそうとは思えない)、今、父に私が言うのは「家もいいけどまずは土地」…

アカシア・からたち・麦畑 佐野洋子 ☆☆☆☆

子供はけっして無邪気な天使ではない。小賢しさがまだないために、無垢の不気味さを抱えている。それをえがける大人は、鋭さと豪胆さを備えた女性たちだけだなあ。佐野洋子、武田百合子、そして誰だろう?

銀ヤンマ、匂いガラス 松山巌 毎日新聞社 ☆☆☆

昔懐かし、夏休みの気分になりました。記憶は脳裡だけではなく、五感のすべてに宿るもの。

鉄の骨 池井戸潤 ☆☆☆☆

良質なエンターテイメント。加速するストーリー展開は心地よく、そこにさり気なく張られた伏線は実に上手い。 読み始め、小説のリアリティをついつい査定してしまったゼネコン勤めの私も、いつのまにかドラマにのめり込み、一気に読了。

日本語と日本人 司馬遼太郎(対談集) ☆☆☆

赤尾兜子との対談。和語のしなやかな表現で、リアリズムに徹した正岡子規について。日本文学における彼の特異性をしる。のみならず、厚みがあり、やや屈折する人間性に惹かれた。これは子規をあらためて読まねば、と思う。 家賃と同じくらい、日々の刺身に金…

明日をひらく言葉 やなせたかし ☆☆☆

「人生はよろこばせごっこ」。これぞ人生最大のよろこび。ほんと、このひとことにつきる。簡単じゃあないけどね。名作「てのひらを太陽に」誕生秘話がなんともいい。その日も徹夜をしていたという四二才の彼はふと、子どものころのように懐中電灯を手のひら…

文学フシギ帖 池内紀 ☆☆☆

大御所鴎外、漱石はもちろん、百輭、幸田文、須賀敦子とわたくし好みの作家がずらり。3、4ページの読みやすい作家評です。大家について書くなんて勇気がいりそうですが、池内さんは実に器用に手頃なネタを見つけてきます。

文学の楽しみ 吉田健一 ☆☆?

こむづかしくて真面目すぎるので断念。文学は文学であってそれ以上でも以下でもない、といったことをいっているのですよね? 白洲正子のエッセイで吉田健一の名が出てきて、同時に携えていた「海からの贈物」が吉田健一訳だったために、すっかり運命的出会い…

日本人と日本文化 司馬遼太郎+D・キーン ☆☆☆☆

対談から40年。今読んでも、日本という国は相も変わらず、哀しいくらい、面白い。内容は目新しくも過激でもないが、身体の一部と化した最良の知識人の造詣に、じんわり感銘を受ける。なにしろ巻末の関連略年表は、西暦600年から日韓併合にまで及ぶ。思わず…

カルロス四世の家族 小説家の美術ノート 井上靖 ☆☆☆☆

久々の井上靖。やはり、スゴイ。大作家にふさわしく、彼は眼前の名作から、作者の姿を透かし見る。たとえば桂離宮のくだり。「しかし、樹木も敷石も何もあわてて決める必要はない」作者のなにげない機微を説得力のある文にする、観察眼。知ることは、不自由…

プーさんの鼻 俵万智 ☆☆☆☆

なにがかなしくて 短歌をよむのだろう なにかひびくから たまにはいいと思う ひとり夕飯たべるなさけなさ 少しごまかすことばの優しさ

星への旅 吉村昭 ☆☆

気がつけば、女性のエッセイばかり読んでいたので、気分転換。もの書くために、生まれる人もあるのだなあ、と毎度のごとく感心する。けれども読書中断。電車に轢かれたり集団自殺だったりすでに棺の中にいたり、やはり精神衛生上よろしくない。いきいきでき…

かなえられない恋のために 山本文緒 ☆☆

小公女と少女たち きっと似ている。そんな予感がしたのは、幼いころ好きだった本が、バーネットの「小公女」だと彼女がいっていたからです。とかく悩みがちだった、かつての私と同じ選択。彼女の小説に興味はないけれど、以来、彼女の名を意識するようになり…

かーかん、はあい 子どもと本と私 俵万智 ☆☆☆☆

母になった俵万智、大人になって俵万智 自意識過剰!彼女の世界にふれたとき、そう反発したものです。私こそ、「山西記」にいたく共感するような、実に自意識過剰な中学生でした。元新聞記者に俵万智を薦められたのは半年前のこと。母になって感性がまた一皮…

白洲正子自伝  ☆☆☆

潔く、それでいて温かい。たしかにそれは薩摩隼人の血かもしれないし、これぞ白洲正子なのかもしれない。―私は幸福だった。というより、この雑木林の前に、明るく開けた野原が見えるが、そこへ行けば幸福が待ちうけているような感じがしたのである。―西国の…

今夜もひとり居酒屋 池内紀 ☆☆

ざくっと斜め読み。手抜きのエッセイの感があり、何より他人の居酒屋論ほどつまらぬものはないようです。場数踏んでなんぼ、我流でなんぼ。 居酒屋の「なんかいい」というところは、ひとりほくそえむ感じと、居合わせた客との連帯感が同居するあたり。「やあ…

異国を楽しむ 池内紀 ☆☆☆

他人の旅論ほどつまらぬものもないようです。それともシットかな。もちろん、旅の土産話は大歓迎。GW明け、たくさんの方から体験話と世界の味をいただいて、早くも一か月以上、経ちました。 エッセイでは、オペラや動物園のくだりが面白い。旅先で非日常と…

芥川賞はなぜ村上春樹に与えられなかったのか 擬態するニッポンの小説 市川真人 ☆☆☆

村上春樹はダシといってもよく、本書は日本の近現代小説における、近代化・アメリカ(「父性」)へのコンプレックスを解いています。既視感のある展開ですが、わかりやすい読み物でした。ただ村上春樹以降の小説家たちについてはどうでしょう。結びに触れら…

朱の丸御用船 吉村昭 ☆☆☆☆☆

村の文学 読みかけたままにしていた「朱の丸」を再び手にとる。「村」の文学に久しくお目にかからないと、前出の「アヘン王国」できづいたためだ。「一人称単数」の独善にすぎる、ややナルシシズムなお手頃小説とはちがう、人間関係の厚みが村にはあるだろう…

レキシントンの幽霊 村上春樹 ☆☆☆☆

なにもかも、脈略のなさそうなこと、それがなぜかぽつぽつとつながってくること。とてつもない悪意や孤独、ナンセンス、平常や諦め。村上春樹らしさが端的に感じられる良質な短編。

すき・やき 楊逸(ヤン・イー) ☆☆☆

うん、面白いです。主人公、かわいいです。歳とって冷め切った自分を思わずふりかえってしまうのでした。

ALPS!

Heute bin ich nach den Alpen gegangen! Nicht in Europa aber in Japan, die Schönheit verliert nicht!

国土と日本人 災害大国の生き方 大石久和 ☆☆

国土づくりの現場に立ち会ってきた著者の語りは熱い。東日本大震災で脆弱列島の現実を目の当たりにした今、国土の再整備と、東京と地域同士の連携を掲げる。国をひとつの有機体として機能させる立場からいえば、本書の論は実に明快だ。ただ、自身の身辺にし…

Schoene Landschaft in Chichib

[ 3 jahare! meine Chichib ist noch sehr schoene, und ich habe viele Gruess Gott gesagt...aber, ein Fehlgriff ohne Ihm! na ja, mein Deutsch ist fast kaputt und alle Fehlere sind OK!