芥川賞はなぜ村上春樹に与えられなかったのか 擬態するニッポンの小説 市川真人 ☆☆☆

村上春樹はダシといってもよく、本書は日本の近現代小説における、近代化・アメリカ(「父性」)へのコンプレックスを解いています。既視感のある展開ですが、わかりやすい読み物でした。ただ村上春樹以降の小説家たちについてはどうでしょう。結びに触れられてはいるものの、なんら解いてはいませんでした。

大衆小説になぜ私個人は生理的な苦手意識をもつのだろう、そもそも小説の定義をどこにおき、小説をなぜ求めるのか。例えば吉村昭が本物の小説と感じられる理由、あるいは、三浦哲郎に物語を感じる仕組み。本に明け暮れただけの週末!ひとり寂しい日曜の晩、感傷がすぎるかもしれないですね。