2013-01-01から1年間の記事一覧
ほんとにほんとにそろそろ総決算 冬至のころ、毎年のなやみ 何を読んで「歳」を越そう? まずは積み残しの読書メモ、その整理から
傘をさす雨ふりの朝、月に一度のものがくる朝、寒くて着ぶくれをする朝。技術が発達しても日常生活は案外、原始的なままだと感じることがあります。 何の疑いもなく身に着けるパンツ、ふんどしは、まさに原始的で永遠の関心事。体に一番距離の近いものである…
沢田教一を終いには銃弾へと導いたもの。それは大仰な使命感でも明確な目的意識でもなく、抗えない引力でした。物語は自らつむぐらものではない。はじめに定まっていて、そして後から見出されるもののようです。彼をはじめ、ジャーナリストやカメラマンが大…
「登場人物たちと同じ行く当てのなさを僕自身も抱え込んでいる」。帯にかかれたイッセー尾形の言葉はそのまま私に通じた。角田光代の小説の心地よさはある種の連帯感だ。現代的、都会的で、希薄な人間関係とおきざりの内面。日常のちょっとした突起物にはじ…
30目前のひとりごと よい旅をいただき よい彩をあじわい 仕事に向き合う 機会を得ました ラストスパートをがんばりたい
たどっていたはずの真っ当な道筋は、やがて理の通らない次元をゆく。 微妙なズレに覚える違和感。それもじきに立ち消え 理のとおらない時空こそ、本来だったと受け入れる。 いびつな土壌をもつマルケスやリョサとの違い 理が変容していくさまが村上春樹らし…
野田政権時代の解説本。少々古いのですが入門にはうってけでした。PRO/CONがまとまっています。グローバル化による、あらゆる側面の勝敗。国民をまもってきたネイションは解体し、世界を舞台に個人戦がはじまっています。 国家としての旧態からの脱却できず…
チベット、世界最大のツアンポー峡谷に挑むバネのある力強い瞬間、共鳴し増幅する男たちの物語。ツアンポーとその流域「空白の5マイル」に文字通りのみこまれるようにして読んだ。植村直己にあこがれた幼いころとはちがう。私は、井上靖「天平の甍」の業行…
いけすかないなーと読み始めてそのまま終わった小説。書き言葉ならではの、小説の前提を覆す構成は面白いのですが、一発屋というか、ルール違反というか。私はやはり、オースターのような緻密さを求めます。(週末ミュージシャンMA氏推薦図書)
秋冬の小旅行をたのしみにしている。はからずも中高時代の修学旅行の地を訪ねることになった。もう、遠いむかしのこと。懐かしのというよりは、再び憧れの扉をあける思いで、本を流しみている。
<晩秋、具象と抽象の狭間へ>中学の修学旅行は奈良・京都だった。お得意の旅程つくりと、苦手の行動班つくりで必死だったから、寺社や庭園の予習なんて思い至りもしなかった。空っぽの頭とこころでみた枯山水はどうだったのだろう。 中途半端な知識と委縮し…
<早春、長崎の玉手箱をたずねて>高校の修学旅行は巡礼の旅だった。広島、萩、長崎と、人々の想いの跡をたどり、みなでハレルヤを歌う。ほかにおぼえているのは教会建築だ。広島の世界平和記念聖堂は、厳かな篤さへの畏れ 長崎の日本二十六聖人殉教記念館は…
譲ってもらったり、食事を待つまに手にとったり。腰を据えて本と向き合えないときは、そんな出会いがうれしい。
ふたり暮らしをはじめた同期が残していった一冊。 「葬式には未来というものがないから何も心配する必要がない」と谷川俊太郎はいう。葬式をあまり知らないが、私も結婚式は苦手だ。演出が欺瞞と商売っ気に満ちている。 物語には救いを、人生には幸せをと、…
いきつけのランチレストランで手に取った一冊。1枚写真を繰るごと、感覚のあたらしさを感じた。 視点を低く、焦点をきゅっと絞る。ネコの眼でこんなにもかわる、時間のはやさ、光のタッチ、ネコとひとの表情。
はじめて恩田陸を読みました。良質な掌編集。懐かしさと不気味さが表裏一体です。「イサオ・オサリヴァンを捜して」はリョサの語りに通じるかもしれません。ぐいぐいと読み進める感覚を楽しみました。
思わせぶりな語りのリズム、旋律、響きと収束。それらをなめることはできたけれど、内奥になにかを見出すことはできませんでした。
見えない毒に侵されながら「おもてなし」をする国。この異様な終末を正鵠に射ていた。今、ぜひ読みたい安部公房の小説、評論。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・明日は今日のようにやってくる。逃れられない危機の存在を知っていても、…
人前で読めない作家ナンバーワン、さくらももこ。今日、早朝の大江戸線でにやけていたお姉さんは私です。 正直すぎて本気すぎて面白い、くだらないのがわかっていてもくだらない。バリに焼きそば屋つくってしまうなんて。それも、ただの思いつきと、ノリと運…
きれいなお姉さんから貰った本、二冊目。外国人のための日本語学校が舞台。あるある、そういう外国人の際どい質問!しんどい質問!笑って済ませられないけれど、止まらぬ苦笑い。 言葉は生き物、そして生物。交配し、腐敗もします。
同窓との再会がつづく 建築を熱く語る日々は過去 年相応の話題が大半をしめる 彼女らが母となったせいか 彼らと深酒をしないためか どちらも原因にはちがいない 今や母業と設計を兼務する彼女たち 逞しさと穏やかさが同居する 一方の同志たち ロンドンからの…
1榮久庵憲司とGKの世界(世田谷美術館/08) 2C・ケレツ展(ギャラ間/0902) 3終わりから始まるものがたり―25の問いと100冊の本―(日比谷図書館/0913) 1夏休み終盤。中学生の姿が目立つ。榮久庵さんの達観は彼らには怪しすぎるのでは。半端に知識がない…
途方もない時間の結晶だった。空まで抜ける透明を、太陽に透かし見る。涙ほどの虹が輝き浮かんでいる。 「火と氷の国」といわれるアイスランド。氷河は、火山を覆って広がり、陸地の一割以上を占める。切り立つ氷壁、鏡のごとき魔術をみせる湖、空と大地を切…
◆母語のこと ◇英語を母語とする人口は多くはないはずだ。アジアでは日本語、フランスやイタリアの山奥ではドイツ語が案外役立つ。言葉の地図を彩る筆は、統治の禍根だ。 ◇観光国アイスランドでは、警備員や主婦まで、誰しも英語が堪能だ。現地語を聞く機会と…
・・・同じく、7月に読みっぱなしにしていました。おもしろかったこと、もっともだったことしか覚えていない、ちょっと情けない状況。本のタイトル探しのエッセイが面白かったような。
■日本を支えてきた会社人とは朝は5時起き、夜も遅く、下手したら土日まで、真面目なサラリーマンをしている。ところがいまだ、時折違和感を感じる。育った環境のせいだろう。けれども最近、やっと日本のお家柄、会社風土が判ってきた。会社員を謳歌している…
リハビリでyoku yomu 再開。頭も体もぼおっとしている。一時間読んでは、三時間寝るの繰り返しだ。今日は郵便局まで徒歩300m、それがやっと。ふだん頑丈すぎるだけに、今回のダメージは精神的におおきい。■アイスランドへの旅/ウィリアム モリス/晶文社 20…
「アイスランドへの旅」と私の旅のはじまり >>独立以前のアイスランドを、二度モリスは訪れている。本書は1871年、最初の旅の手記だ。当時37歳のモリスは一週間の船旅をへて、ポニーで島の西側を一か月ほどで巡った。海に浮かぶ、不気味な山のシルエット。…
「よみがえれ!夢の国アイスランド」と私の旅のはじまり2 本書の刊行から間もない2008年、アイスランドの経済が破綻し、2010年には火山の大爆発で空の交通網が大混乱した。それまでこの国を認識していなかった日本人は私だけではないだろう。その後の数年間…
旅に携える本は、須賀敦子とミヒャエル・エンデ。いつのころからか、どこに行くにもこう決まっていた。ところが今回は違う。遅まきながら電子書籍に手をだしたのだ。ところがラインナップが実に悪い。寺田寅彦をのぞき、私の好きな作家はことごとく市場から…