人生ベストテン 角田光代 ☆☆☆

「登場人物たちと同じ行く当てのなさを僕自身も抱え込んでいる」。帯にかかれたイッセー尾形の言葉はそのまま私に通じた。角田光代の小説の心地よさはある種の連帯感だ。現代的、都会的で、希薄な人間関係とおきざりの内面。日常のちょっとした突起物にはじまり、また日常に戻るだけの十数ページ。けれどもその日常には、ほんの少しの跡がついている。
素直でない私は、小説の心地よさをすべては受け入れられない。自分に似た登場人物をストーリーにしてしまう、作者への羨望があるのかもしれない。