2012-08-01から1ヶ月間の記事一覧

旅先の本 「11分間」☆☆☆ 「自由の牢獄」☆☆☆☆☆

「11分間」コエターリョ☆☆☆ 読み終えて半月がたった今、九月となっては、実はさほど印象に残っていません。 「自由の牢獄」M・エンデ☆☆☆☆☆ 空間のゆがみ、夢の引力。凝縮された世界は果てしない磁場を得て、身体にも精神にも食いこみ、消えることがありま…

アカシア・からたち・麦畑 佐野洋子 ☆☆☆☆

子供はけっして無邪気な天使ではない。小賢しさがまだないために、無垢の不気味さを抱えている。それをえがける大人は、鋭さと豪胆さを備えた女性たちだけだなあ。佐野洋子、武田百合子、そして誰だろう?

カラヤン 自伝を語る ☆☆

十年ぶりに「アマデウス」をみたあと、同郷の帝王、自らを語る。ワンマンな組織統率力。これほど確信漲る言葉をきいたことはない。ぎこちない邦訳が手伝い、カラヤンの異様さが際立つ。堅牢で排他的な地形、大司教たちが権威をみせつけた異形の町並み、ハプ…

祝祭の都ザルツブルク 小宮正安 音楽之友社 ☆☆☆

見立てなど、難しいこというなかれ。街そのものが文字通り劇場、市民はまさに立役者。果たしてそのザルツブルクの今は。高まる期待。MEMO=1920年大聖堂前でのイエーダーマン/フェルゼンライトシューレ改造/1840年没後50年モーツァルトの再評価熱(対ナポレ…

銀ヤンマ、匂いガラス 松山巌 毎日新聞社 ☆☆☆

昔懐かし、夏休みの気分になりました。記憶は脳裡だけではなく、五感のすべてに宿るもの。

ウェイティングリスト 8月

銀ヤンマ、匂いガラス/カラヤン/旅ではなぜかよく眠り/小澤征爾さんと、音楽について話をする/人はなぜ日記を書くか/11分間/そのたイロイロ仕事だけじゃない。半端な積み残しが多いのは読書も同じ。一気に解消できる予定もなく、一気に解消するやる…

ミャンマーの柳生一族 高野秀行 集英社文庫 ☆☆

2004年、ミャンマー。珍道中を通し、江戸の武家社会然とした当時の政権、社会が浮かび上がる。どこか書き切れていない感があり、とくに人物描写は厚みに欠くものの、相変わらずの高野節。

リスト 生涯篇 属啓成・音楽之友社 ☆☆☆

テーマに使おう。私が作家だったなら、そう衝動に駆られたはずだ。だが楽曲の壮大さゆえ、自分の乏しい才を嘆く羽目になるかもしれない。リストの前奏曲は脳を奥底から突き動かす。神経質そうな肖像が色あせていて、そこは小学校の音楽室の壁だ。リストの作…