2011-08-01から1ヶ月間の記事一覧

【追記】ローマ人の物語

・描ける「煙」、描き難い「空気」 昨日の読後感、性急でした。本で興奮するのも考えものです。性急さに性急さを重ねるようではありますが、追記。 日本の空気とローマの煙を並べたものの、妙なことを思ったものだと反省し始めました。日本に空気しかなくて…

ローマ人の物語 ユリウス・カエサル ルビコン以前 ☆☆☆☆ 塩野七生

○個人的感想・歴史=人間を視る彼女を視る塩野七生、再開しました。RPGに入れ込みがちな私ですから、カエサルの登場はまったく、ハンニバル以来の大興奮を呼ぶわけです。戦役の詳細やガリア人のカタカナの族名など、ちっとも頭に入りませんが、とにかく一気…

14歳からの哲学 ☆☆☆ 池田晶子

考えるために、考える、ということを考える・・・ (何歳からでも遅くはない、何回よんでも無駄ではない だから本当は迂闊には感想はいえないのです) - ○個人的感想「君はいま中学生だ。」その一言に始まり、雑念だらけの今から少しだけ(といっても「我が…

ブエノスアイレス事件 ☆☆ プイグ

不毛と偏執/グラディスとレオ/性と芸術 どのような距離感でもってこの小説を読みますか? - 映画製作を仕事としたことがあるプイグにとって、メロドラマや大衆小説は出自といっても差し支えないでしょう。ですが「ブエノスアイレス事件」は読みやすさから…

三つのブルジョワ物語 ☆☆☆☆ ホセ・ドノソ

鳥肌をたてながら滑稽に思うかもしれない、 うなづきながら首をかしげるかもしれない、 倒錯はおそらく誰の中にもあるものだから。 - 女といってもいろいろ、男といってもさまざま でもここでは単純化してしまおう男性の描く女性がときに面白い、そう気づい…

◆2011年夏休み 独り気ままに映画三昧

■ペーパー・バード [Pajaros de papel] ☆☆☆☆ ちょっと生意気で可愛らしい子供、不器用な男、そして劇場。これだけ揃っておもしろくない筈がない。(ニュー・シネマ・パラダイスがよい手本。他にもあったような。)まんまとハマってしまう魅力あるストーリー…

無趣味のすすめ ☆☆☆ 村上龍 

不確かな言葉が掲げられる世の中。「夢」や「自分らしさ」。いまだ思春期みたいだけれど、ことあるごとに反発してしまう。かといって具体的対処法があるわけでもなく、ひたすら目の前のことをやるだけ。本書はそんな私に、生温い安堵感もまやかしの叱咤激励…

猛スピードで母は ☆☆☆ 長嶋有

なにを考えているわけでもない登場人物たちに好感を持った。期待していなかっただけに、あっけなく読み終えた自分自身に驚く。自意識の塊が登場人物にないことが、抵抗を持たずに済んだ理由だろう。団地のハシゴを登って行ってしまう母、なんてなかなかいい…

姉妹コーナー yoku aruku 開設

このたび主宰しています「もういっかい」HP上に 「yoku aruku」を開設いたしました。 当コーナー「yoku yomu」の姉妹コーナーとして 日々の街歩きを、気軽なテキストにしていく予定です。 「yoku o yogu」開設以来、迷走しておりますが ひきつづきよろしくお…

ナニカアル ☆☆ 桐野夏生

よくも悪くも思い切った作品。作家・林芙美子への興味から本作品を手に取ったわけだが、作中の芙美子像と実像の距離はさほど重要ではない。この作品は読物として成功しているのだから。(文学かは知らないけれど。) 修士論文で作家論にとりくんだ経験を思う…

かもめのジョナサン ☆☆?? リチャード・バック

ただ飛ぶ、その行為自体に価値を見出し極める孤高のかもめ。1970年に書かれ、ヒッピー文化と相まって大ヒット作となったこの作品に、共感できるだろうか。もしくはきちんと理由だてて反発ができるだろうか。それ以前に、少しでも理解できるのだろうか。 - 数…

日本辺境論 内田樹 ☆☆☆ ズルイ論、いや論ではない

丸山眞男のいうところの「きょろきょろ」している日本人。なにをやっても思っても、結局はこの「辺境論」に収斂してしまうのだから、なんだかズルイ。ただ、それでわたしたちの多くのことが説明されてしまうのだから致し方ない。 - 海外で活躍する友人が何人…