アメリカ

鍵のかかった部屋 ポール・オースター ☆☆☆☆

ひさびさのオースター。自己/他者、追うもの/追われるもの、過去にとらわれえる現在/現在がつくる過去、一人称/三人称の相克。そうそう、この感じ。明快な構図は好みだがやや物足りない。南米系の迷宮がそろそろ恋しい?ねじれ、ゆがむ、あの空間、時間。

海からの贈物 アン・モロウ・リンドバーグ 吉田健一(訳)☆☆☆☆

すべての女性たちへ この島には空間がある、時間がある―生真面目な良心は世界におしつぶされ、静かな心は日常に駆り立てられる。私たち女性はもう、枯れ果てるまで自らを与えてきてしまった。同時に、与える術を知らず、途方に暮れてもいる。コネチカットの…

ワシントンハウス 秋尾沙戸子 ☆☆☆

いわゆるヒストリーと、オーラルヒストリー。両方が欠かせないことを改めて思う。それは文字通りの日本史でも、文化史でも建築史でも同じ。鳥の視点と人の視点を行き来することは簡単ではないが、この本はわりとうまくやっている。それもパブリック向けに。…

旅をする木 星野道夫 ☆☆☆☆

クリスマスに妹にあげた本。実は自分が読みたかったのだ/いまの私に枯渇するものがわかり、すっとする。言葉も思考もないところ、あたたかさと深さだけの場所に埋まりたい。/この本は素直で、なにかを差し出す。シンプルにひとに与えられるものを紡ぎたい…

かもめのジョナサン ☆☆?? リチャード・バック

ただ飛ぶ、その行為自体に価値を見出し極める孤高のかもめ。1970年に書かれ、ヒッピー文化と相まって大ヒット作となったこの作品に、共感できるだろうか。もしくはきちんと理由だてて反発ができるだろうか。それ以前に、少しでも理解できるのだろうか。 - 数…

ホテル・ニューハンプシャー J・アーヴィング ☆☆☆

1981年の作品。純然たるアメリカ小説。 ポストモダン版「大草原の小さな家」では、と思うのですがいかがでしょう。 - 小説にも流れる時代の空気は、私には実感が伴わない。だから単なる読み物として読む。アメリカ的というか、小学生のころのワイルダー「大…