社会
味見 出来合いのケチャップにソースと醤油をぶちまけたよう。表現といい、書く姿勢といい、非常にマズイ。が、ともかく騙されたと思って食べてみた。味はさておき、「独立国家」をつくってしまう行動力には舌を巻く。それは既存の常識社会にうまくパラサイト…
学生のころちょっとヤクザな恩師に言われたのは「100マンあったら土地をかっておけ」。かかりつけの漢方医にいわれたのは私は「土地」業?に縁があるらしく(この放浪癖からして全くそうとは思えない)、今、父に私が言うのは「家もいいけどまずは土地」…
対談から40年。今読んでも、日本という国は相も変わらず、哀しいくらい、面白い。内容は目新しくも過激でもないが、身体の一部と化した最良の知識人の造詣に、じんわり感銘を受ける。なにしろ巻末の関連略年表は、西暦600年から日韓併合にまで及ぶ。思わず…
ここに、3つの職。あなたはどれを選びますか?サービス時間、料金、主な商売道具、そしてお客様との関係は次の通り。A 15分〜1時間半/2000円〜15000円/鋏/鏡の中にお客様の表情の変化を見ながら。 B 数時間〜1日(仕込を含む)/ほぼ上限なし/包丁/…
国土づくりの現場に立ち会ってきた著者の語りは熱い。東日本大震災で脆弱列島の現実を目の当たりにした今、国土の再整備と、東京と地域同士の連携を掲げる。国をひとつの有機体として機能させる立場からいえば、本書の論は実に明快だ。ただ、自身の身辺にし…
神様の生態学である。わたしたちは「近代」が、その澄まし顔をめりめりと剥がされていく様を、目の当たりにしている。EU破綻状態のいま、読みたい一冊だ。整理しきれない性質を多く孕んだキリスト教。それゆえ生まれた、事由の追及、異端が吐き出される機…
いわゆるヒストリーと、オーラルヒストリー。両方が欠かせないことを改めて思う。それは文字通りの日本史でも、文化史でも建築史でも同じ。鳥の視点と人の視点を行き来することは簡単ではないが、この本はわりとうまくやっている。それもパブリック向けに。…
対話における緊張を緩めずいきたいもの。ひとつのスリルでもある。本書、とくにはっとさせられる内容はありません。
1960年前後にかかれた「文明の生態史観」他。東洋・西洋の構図ではなく、その間に「中洋」をとらえることで、旧大陸の東西の端に位置する「第一地域」、古代文明の地である中洋と周辺の「第二地域」のモデル化を行う。なるほど、欧米アカデミズムのつくった…
歴史・経済に疎い私も、少しは判った気になる。 波及力をもち、時代や思想に「大きな流れ」を生む本。その評価は、時々で変わるだけに、本のエピローグはよめない。大きな流れは得てして捉えがたく、無邪気・無意識のまま、私たちはすごす。おそろしいことだ…
「択ぶことがわたしにとっては表現」奇しくも今日、一年ぶりに訪れたイシイコレクション・ご主人の言葉。(東京・青山、ブルーノートのうらにあります。)絵を描く、文を書くことばかりが表現ではない。対話であったり、つまらなくみえる仕事であったり、な…
およそふた種類の人間がいるらしい。教育者と実業家。ともに確かな眼と判断力をもつ。違いはその先、ただ一点だ。だがその一点が実に正反対なのである。 ひとをつくるひとのいうことには「真我になってこそ、人々は心が一つに溶け合うことが可能なのです」、…
おもしろい絵ほどくたびれるという傾向がある。 物というものは、人をくたびれさせるはずがない。 物と絵かきは、ある敵対状態にあるのだな。(小林) 物を生かすということを忘れて、 自分がつくり出そうというほうだけをやりだしたのですね。(岡) 矛盾が…
半年間の期間工として自ら自動車工場へ。トヨタの実態、日本の成長の裏側を暴く。著者は過酷な労働を社会問題として一辺倒に糾弾するのではなく、労働者ひとりひとりによりそう。ワーキングプアやニート、ハケンが生まれる前の、高度経済成長期を描く古典的…
日本人らしく、サラリーマンらしく、女性らしく。自己防衛機能としての「らしさ」。そこには自分らしさというマヤカシは並びえない。賛成。 - 試みに「らしさ」の英訳を考えるも、都合よい形容詞や助詞は見当たらない。「らしさ」を「型」と置換すると? sty…
「想定外」は免罪符ではない。この欺瞞にあふれた思考停止状態には現実主義やご都合主義、専門家の傲り、あらゆる言い訳が燻る。天災も、それに続く人災も、実はそういった人間の性質に起因するところが多い。肝心なのは案外、想像力を伴った身体感覚、なの…