人間の建設 小林秀雄・岡潔 ☆☆☆☆

おもしろい絵ほどくたびれるという傾向がある。
物というものは、人をくたびれさせるはずがない。
物と絵かきは、ある敵対状態にあるのだな。(小林)


物を生かすということを忘れて、
自分がつくり出そうというほうだけをやりだしたのですね。(岡)


矛盾がないということを説得するためには、
感情が納得してくれなければだめなんで、
知性が説得しても無力なんです。(岡)


一を仮定して、一というものは定義しない。
一は何であるかという問題は取り扱わない。(岡)


知らないものを知るには、飛躍的にしかわからない。
ですから知るためには捨てよというのはまことに正しい言い方です。
理性は捨てるということを肯(がえん)じない。
理性はまったく純粋な意味で知らないものを知ることはできない。
つまり理性のなかを泳いでいる魚は、
自分が泳いでいるということがわからない。(岡)

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以上本文より。
英文学者だった祖父・潔が引き合わせてくれた数学者・岡潔