世界を変えた10冊の本 池上彰 ☆☆☆

歴史・経済に疎い私も、少しは判った気になる。
波及力をもち、時代や思想に「大きな流れ」を生む本。その評価は、時々で変わるだけに、本のエピローグはよめない。

大きな流れは得てして捉えがたく、無邪気・無意識のまま、私たちはすごす。おそろしいことだ。ますますおそろしいのは、それを利用する大人物の存在。
おそろしいことだらけではないか。
ただ、たじろぐばかりではない。大きな流れを生む不可視の力に、ある種の陶酔を覚える。私の未熟さゆえだろうか。同時に諦めも感じ、流れの断片を、少しでも聴きたいと思う。

それにしても、私たちのすごし方は身体的だ。危機や恩恵を洞察できているとは限らない。冬の西高東低は見えないが、こんなにもつらく、北風が乾いた肌を刺す。偏西風は見えないが、黄砂に曇る空は、不吉な予感を駆り立てる。