自動車絶望工場 鎌田慧 ☆☆☆

半年間の期間工として自ら自動車工場へ。トヨタの実態、日本の成長の裏側を暴く。著者は過酷な労働を社会問題として一辺倒に糾弾するのではなく、労働者ひとりひとりによりそう。ワーキングプアニートハケンが生まれる前の、高度経済成長期を描く古典的ルポタージュ。

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内田樹にいわれるまでもなくレイバーとビジネスは違う。鎌田の半年はレイバーそのもの。私の仕事は?日々感じる焦り、諦め、憤り。いつも最後にはレイバーをワークへと主体的・意識的に変えていけない自分自身に苛立ちの矛先が向く。(あえてビジネスではなくワークという。その理由は①一品生産に近い仕事をしている②立場上、残念ながらまだ顧客の顔が見えにくい。本当はビジネスと自分の距離を縮める想像力も必要なのだが。)
ずいぶんな贅沢、と判ってはいても頭・体・心が統一された生活を欲する。私たちの時間はあまりに頭=体と心から切り離されたコマンダーに支配されている。
(関連書籍)「疲れすぎて眠れぬ夜のために」内田樹