独立国家のつくりかた 坂口恭平 講談社現代新書 ☆☆

味見
出来合いのケチャップにソースと醤油をぶちまけたよう。表現といい、書く姿勢といい、非常にマズイ。

が、ともかく騙されたと思って食べてみた。

味はさておき、「独立国家」をつくってしまう行動力には舌を巻く。それは既存の常識社会にうまくパラサイトしているわけで、荒唐無稽では決してない。ただ「それが僕の使命なのだ、革命はすでに起きているのだ。」なんて括られると、即、食中毒。

やはり、トマトをことこと煮詰めた本物のスープがいい。もちろん予め、ニンニクをじっくり炒めて。けれども仕上りを待ってばかりでは、せっかくの具材も腐る。まだ疑問を抱く人々が日本にいるうち、調理に踏み切る決断が独立国家建設か。たとえ無作法な味付けでも。


追記:ちょうど「土地への感性」などとメモしていた私は、無意識に新書コーナーで彼の本を択んだ。一応、著者は研究室の先輩。
彼のいう「レイヤーづくり」「態度交易」は大真面目なる「ごっこ」のようなものか。子供のとき何かになりきって遊んだ、あの「ごっこ」―そこには独自の価値体系と価値交換のルールがある。
私も今「ごっこ」遊びに必死だ。大いなる無駄ではあるが、これなくして生きていくことはかなりしんどい。