ASIA

わたしはマララ マララ・ユスフザイ ☆☆☆☆☆

故郷の山、客人が溢れる家の風景、人々に這いいる脅威と恐怖、無力と矛盾の国がある。弟や親友と喧嘩をし、背が伸びてもっといいスピーチがしたいと願う。ひとりの少女の眼をかり、自らの心でみる。宗教や国のいかんを問わず全ての隣人へ深い感謝を持てます…

ライカでグッドバイ―カメラマン沢田教一が撃たれた日 青木冨貴子 ☆☆☆ 

沢田教一を終いには銃弾へと導いたもの。それは大仰な使命感でも明確な目的意識でもなく、抗えない引力でした。物語は自らつむぐらものではない。はじめに定まっていて、そして後から見出されるもののようです。彼をはじめ、ジャーナリストやカメラマンが大…

空白の5マイル 角幡唯介 ☆☆☆☆

チベット、世界最大のツアンポー峡谷に挑むバネのある力強い瞬間、共鳴し増幅する男たちの物語。ツアンポーとその流域「空白の5マイル」に文字通りのみこまれるようにして読んだ。植村直己にあこがれた幼いころとはちがう。私は、井上靖「天平の甍」の業行…

図書室の海 恩田陸 ☆☆☆

はじめて恩田陸を読みました。良質な掌編集。懐かしさと不気味さが表裏一体です。「イサオ・オサリヴァンを捜して」はリョサの語りに通じるかもしれません。ぐいぐいと読み進める感覚を楽しみました。

【講演会】浅野孝信さんにきく 世界一幸せな国「ブータン」と建築

身体感覚の距離感を思う勤務先で講演会を企画しました。講師は、ブータンにて伝統建築の調査・保護活動に携わった浅野孝信さん。 空には気高き山がつきぬけ、彩りと躍動に溢れたチベット仏教の祭祀が魅惑的です。遠いこの国には、かつての日本をみるかのよう…

ブータン、これでいいのだ 御手洗瑞子 ☆☆

“ブータンってみんな幸せそう―現地で公務員として働いた著者が語る、「幸福」の国の秘密”(カバーコピーより)・・・・・・・・・・・・・・・・講演会の企画にあたり、ブータンのにわか勉強をはじめた。軽い語り口だが、「なるほど」と納得する知見もある。…

ときどき意味もなくずんずん歩く 宮田珠己 ☆☆

「そうそう、旅ってそうなんだよ」と相槌うったり。「やりすぎでしょ」と目を見張ったり。面白くもちょっと忙しいエッセイです。(読書倶楽部・K嬢推薦図書)

時が滲む朝 楊逸 ☆☆☆☆

歴史に残らなかった人々の血の通った物語は、生き生きとして、同時にもどかしくて哀しく、それでもやはり逞しい。読みたかったものを読んだという快感を得た。わたしたち日本の若者にとって、活字で読んでも判らない「天安門」、中国が、苦悩しつつ成長する…