ブータン、これでいいのだ 御手洗瑞子 ☆☆

ブータンってみんな幸せそう―現地で公務員として働いた著者が語る、「幸福」の国の秘密”(カバーコピーより)

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講演会の企画にあたり、ブータンのにわか勉強をはじめた。軽い語り口だが、「なるほど」と納得する知見もある。
人工的に囲い込まれた桃源郷、という憶測に反し、むしろ、社会(共同体)の規模、特性が有機的に働いているようすがわかった。もちろん、その有機的働きをビジョンとシステムに仕立てる中枢があってのことである。

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◆基本の覚書
GNHの4本柱
�持続可能で公正な社会経済発展 �自然環境の保全 �文化の維持・促進 �よいガバナンス


◆「なるほど」の覚書
○金銭感覚が未熟、予定が立てられない、自信満々で怒られるとびっくりしてしまう、そして「夜這い」(!)をするブータン
=快楽主義・刹那主義(仏教観)・共同体の強さ(セイフティネット)


○組織としてのブータン(国として日本と比較しても無意味)
=人口は大田区くらい(70万)、国土は九州くらい


○「幸せの国」ブータンの鍵(組織の強さ)
=�GNHという明快なビジョンの共有 �グローバルな知見を備えたうえで自国を理解するリーダー �国民一人ひとりの「幸せ力」の強さ �国全体がコミュニティ


○インドとの関係
経済面の依存、政治面での防御策(eg中国にとりこまれたチベットの轍をふまない)、安価な労働力源

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いろいろ「なるほど」はあったものの幸せ観に立ち戻る。「自分の幸せ」を求めては、自分も周りも窮屈になるばかり。「周りの幸せ」が「自分の幸せ」になる、いや、そのものかな。
今、ここ、という狭い己の枠を取り去り、遠い時間、遠い人へとおおらかに語りかけたい。