BESUCEN

ジプシー・フラメンコ ☆☆☆☆

伝説のフラメンコ・ダンサー、カルメン・アマジャ生誕100年を記念して制作されたドキュメンタリー。(母も私も彼女を知りませんでした。)彼女を大叔母に持つカリメを中心に、歌い手、ギター弾き、そしてカリメの母がステージをつくる。響きあう彼らの魂。(…

泥象(でいしょう) 鈴木治の世界 ☆☆☆☆

「使う陶」から「観る陶」へ、そして「詠む陶」へ 言葉に苦しむ、久々の展覧会。具象的で抽象的。端正でおおらかでもある。単体の力強さと、並んで立つ像の均衡。赤土の粒子はあたたかい触感を、白磁をなめる光は透き通った味覚を伝える。徐々に、題を見ずし…

いろ・うごき・かたち アートをめぐる夏の冒険 ☆☆

こどもたちの夏休みは忙しい。読書感想文、自主研究、お絵かきの宿題に美術鑑賞の感想文。小中学生を見据えた本展覧会は、決して子供向けではないものの、作品の寄集め感がある。私が子供だったら感想文のネタには選ばないな。葉山館の良さである、展示室に…

ヘスス・オルテガ グループ フラメンコ ☆☆☆☆☆

母とスペインでフラメンコをみてから8年がたちました。今回はお祝いごとのため(辛気臭い日にしたくなかったので)新宿で母と鑑賞。実力者が揃ったショーに恵まれ、力強さ、技術の高さ、すべてにのまれました。背筋から指先まで緊張をみなぎらせたバイレ。…

佐藤時啓 光―呼吸 ☆☆☆

週末、久々に恵比寿ガーデンプレイスに出向いた。爽やかな夕暮れの風に吹かれ、テラスでビールを楽しむ人が目立つ。開放的で賑やかな雰囲気を抜けると、佐藤時啓の異様な世界観が際立っていた。代表作<光―呼吸>は、佐藤が無人の街や建築に光をかざし、フィ…

建築家ピエール・シャローとガラスの家 ☆☆☆☆

表題にある「建築家」の表現に違和感がある。シャローの集大成は(幸運にも)「ガラスの家」という建築のかたちをとっただけであり、そこに至る試行と思考を辿ることに展覧会の意味がある。ガラスの家(1927−31)のガラスブロック積。昼は内、夜は外の幻想的な…

TYIN展 ☆☆☆

なぜ前向きな気持ちのあとには虚無感がやってくるのだろう。シャローのメモはネガティブにものとなってしまった。TYINの展覧会はつくることをふたたび信じる勇気をくれる。少し疑念をはさんでしまうのは嫉妬のためだろう。建築をつくるというより、風景をつ…

ときどき意味もなくずんずん歩く 宮田珠己 ☆☆

「そうそう、旅ってそうなんだよ」と相槌うったり。「やりすぎでしょ」と目を見張ったり。面白くもちょっと忙しいエッセイです。(読書倶楽部・K嬢推薦図書)

ペンギン・ハイウェイ 森見登美彦 ☆☆

「泣くな、少年」 郊外の新興住宅地に突如あらわれたペンギンたち。単なる珍風景ではすまなかった!つぎつぎにつながるたくさんのエレメント。それはちょうどワームホールのように。個性的で、でも「たいへん」親近感のわくキャラクターが織りなす一夏のファ…