かなえられない恋のために 山本文緒 ☆☆

小公女と少女たち
きっと似ている。そんな予感がしたのは、幼いころ好きだった本が、バーネットの「小公女」だと彼女がいっていたからです。とかく悩みがちだった、かつての私と同じ選択。彼女の小説に興味はないけれど、以来、彼女の名を意識するようになりました。横浜育ち、東京在住もよくあるパタンで同じ、文緒というファーストネームがなんとなくよい。

かなえられない恋
というよりも、かなえられない自分、かえられない自分。このどうしようもない悩み方と割り切ろうする努力に、ちょっと共感します。ただ、共感するだけの本は、概して面白くはないものです。

横浜育ち、東京在住
「人との距離が自在に取れるでっかい東京」。そこで「大変くつろいで」生活している、というのには馴染めない。けれどもそんな彼女も「結構いろんなことを犠牲にしているのかも」といいます。毎朝、コンビニの袋をがさがさいわせ、プラスチックみたいに平坦な味のパンにかぶりつくおじさんたち。本当に憂鬱。