魔術的リアリズム 20世紀のラテンアメリカ小説 寺尾隆吉 ☆☆☆

非日常が蔓延する世界に入り込む眩暈、自分がいたはずの現実が暴かれる衝撃。「百年の孤独」ほど、語りが築く濃密な世界に出会ったことがない。言葉よりも身体が明確に記憶する、あのうちのめされた読後感。それ翻訳するのに適役の一冊。

(「族長の秋」や「ペドロ・パラモ」の構図も的を射てわかりました。コエターリョがいまいち安っぽい、ボルヘスがなんだか建築的(構築的)にすぎる、といった「印象」にも納得。)