白の闇 ジョゼ・サラマーゴ ☆☆☆☆

「白の闇」が人々を次々と襲う。発症者や感染者の隔離に始まり、終いにはすべての人々がこの原因不明の失明におかされる。失われていく人間性、社会性、個別性、希望や未来、ありとあらゆるもの。一寸先の展開も読めず、果たしてどのような物語を導くのかとむさぼるように読んだ。これは単なるパニックストーリーではない。(そのような映画に仕立てられたようで残念極まりない。)「あらゆる名前」を読んだだけではわからなかったサラマーゴ作品に通底するテーマが見える気がした。
(関連書籍)あらゆる名前 ジョゼ・サラマーゴ