教育とは何か 大田堯 ☆☆☆

大田先生は人間を「分別」する存在だと位置づける。生涯にわたって選択をし続けるがゆえに、可能性は無限であり、同時に孤独へのベクトルを持っている。そのような「個」を超えた「種」の観点から教育が真正面から語られた一冊。

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どういうわけか人生論だと思い込んで本を購入し、真正面な教育論に面喰い、そしてそれがやっぱり人間論であったことに気付く―驚きの逡巡。本当に、今更ながら自分の無知に衝撃を受けるのだ。いつ考える暇があっただろう?周りの大人の誰が自覚していただろう?教育が個人のものではなく共同体のものであること、教育は本来権利であること、今の教育の根底にある人権への無意識・無理解、不当な権力を。あまりに無自覚のままに、教育を与える世代に自分が到達した。
そういえばもう何か月も、ことによると何年も「子供」に接していない。同世代、それも似たような友達ばかりと付き合っている。決して徒党を組む私ではないのだが。ついつい、自分が自分がとなってしまうのはそのせいなのだろうか。