ふつうがえらい 佐野洋子 ☆☆☆

小気味よいヨーコ節、びしびし来ます。女性らしい生命力に満ちたやさしさを、そこに確かに感じます。
須賀敦子森茉莉佐野洋子。出自はさまざまですが、彼女たちの描く少女時代はとても生き生きと伝わります。須賀敦子の黄色がかった情景、森茉莉は父鴎外の膝の感触を、佐野洋子は飛び跳ねる影絵のように。
ひとりの女性をかたちづくるもの、時に根づく深さを思うのです。わたし、もうすぐ30歳。真ん中まできてしまったよ。