観月観世 或る世紀末の物語 曽野綾子 ☆☆☆

素性の知れない者たちが満月の夜に集う。何を願うでもなく何を裁くでもなく、ただ現実とも虚ろともわからない話を綴る。作者が見知った世界がひとつひとつの物語になっている。報われない人生の笑顔も、不条理にある一種の陶酔も、事実であろうとなかろうと、すべてが真実である。(2011/集英社文庫/140526読了)