ふふふ 井上ひさし ☆☆

突然ですが、ひとこと、
といった雰囲気に始まるテクスト。小気味よいユーモアと鋭さはさすがだが、政治ネタでは新鮮味が足りない。野球ネタも私には退屈。やはり、浅草フランス座などの芝居ネタ、作品づくりで蓄えた雑学ネタが、作者ならではで面白い。さらっとやさしさのある「春のハモニカ」「万引き」、からっとした自虐ユーモアの混じる「筆名考」などもよい。エッセイがひどく短い分(文庫前半の作品は1000字程度)、ウィットや表現もさることながら、ネタの新鮮さがものをいう。
解説は、「ふふふ」とはどんな笑いなのか?と題したもの。単純でも、親切で真摯に構成されており、好感を持った。この、「岩手の五反百姓」だという解説者が大切に飾っている、井上の色紙。
むずかしいことを やさしく
やさしいことを ふかく
ふかいことを ゆかいい
ゆかいなことを まじめに