読書を支えるスウェーデンの公共図書館 

19世紀後半から20世紀初頭、民衆による社会改良運動の中で生まれたスウェーデンの図書館。多民族国家となった現在は(移民等スウェーデン人以外の国民が約2割を占める)、「自分の言葉を持つ」権利を保障するシステムでもある。

図書館を取り巻く問題は多岐にわたる。地域特性、マイノリティ(先住民や移民、障碍者)、新しいメディア(電子書籍、ネット)とのつきあい方、などなど。それらを解決し、図書館の大枠の理想を実現するのは案外、地元(コミューン)に根付いた司書たちのちょっとした手作りだ。通学バスの図書コーナー、作家と図書館のコラボレーション、「おしゃべりカフェ」等が紹介されている。また、国民の権利への意識と社会サービスへの信頼感の高さが、図書館の変容と挑戦を下支えしている。

パブリック(社会のプリンシプルとシステム、生活や地域の在り方)の凝固体としての図書館。同時にそれはもっともプライベートな空間でもある。図書館の深みを垣間見た。