国家の品格 藤原正彦 ☆

岡潔の焼き直し。西洋を知った数学者の典型です。村上陽一郎の「教養」、藤原正彦の「品格」など、わたしには仰々しくマニッシュな思考に思えて、日本人的「情緒」は退散しそう。なにも語らず掲げず、慎ましく凛とありたい。

と、ちいさく反発しても、藤原正彦さんの主張はしごく良識的で、抗う余地はありません。「論理の出発点を選ぶ」ことが大事という件にとくに納得しました。論理がリニア―な構造をもっていると思うのは単なる見えがかり。

欧米のエリートにも伝統にも触れたことがないけれど、二十代、外国の人たちと深くつきあった時期がありました。三十を控え、今、気持ちが帰国したようです。