日本史の謎は「地形」で解ける【文明・文化篇】 ☆☆☆ 竹村公太郎

「謎はすべて解けた」と決めの台詞が頼もしい著者は国交省出身の土木マン。家康が読み込み、整備した江戸の地勢、エネルギー(木材)システム、はたまた日本を出てピラミッドまで。土木マンらしい歴史に対する身体感覚はさすがである。なかでも水道史にみる歴史の邂逅に驚いた。(大正10年(1921)の東京市の水道の塩素殺菌導入、シベリア出兵、細菌学を専門としていた後藤新平のリンク。けれども水道技術が先行していた欧州での殺菌技術はどうだったのか、そもそもの疑問がある。)土地、水、エネルギー、そして食糧に対する過去の治世者たちの知見と執念が、これからの日本の針路を質す。原発、人口、社会福祉、きな臭い国際情勢、温暖化。家康の時代から下ること400年、事態は混迷を極めている。(2014/PHP出版/140720読了)