HISTORY

日本史の謎は「地形」で解ける【文明・文化篇】 ☆☆☆ 竹村公太郎

「謎はすべて解けた」と決めの台詞が頼もしい著者は国交省出身の土木マン。家康が読み込み、整備した江戸の地勢、エネルギー(木材)システム、はたまた日本を出てピラミッドまで。土木マンらしい歴史に対する身体感覚はさすがである。なかでも水道史にみる…

私が伝えたい日本現代史1960-2014 田原 総一朗

歴代総理史を通して現代史をみる。たいへんわかりやすい。(2014/ポプラ新書/6月読了)

アンネ・フランクの記憶 小川洋子 ☆☆☆

1995年、アンネの足跡と友人たちをたずね、小川洋子はオランダ、ドイツ、そしてポーランドへ発つ。「古い友人」のようだというアンネと彼女とは、書くことへの思いで結ばれている。ひとの身体、時間、想いは、無残に解体され、無機的なパーツとして集積され…

世界を変えた10人の女性 池上彰 ☆☆☆

お茶の水女子大学での講義を収録。講義のまとめとして「世界を変えた女性たちの多くに共通する資質とは何か」を学部・学年を異にする学生たちが論じている。わたしは「自由」だと思う。逆説的に聞こえるかもしれないが、直感はそういう。直感は往々にして正…

アイスランド小史 G・カールソン 早稲田大学出版部

□観光立国 極東の島・日本から9,000キロ。北西の最果て島・アイスランドといえば、火山と温泉、大地の裂け目「ギャオ」、オーロラ。大自然を武器に観光産業が盛り上がっています。(森林は殆どありません。開拓時代に耕し尽くしたせいだそうです。)今回は真…

図書及び図書館史 ☆☆☆

堅苦しいタイトル。それもそのはず、司書課程の教科書だそうです。西洋・中国・日本、古代から現代まで、図書館史を幅広くカバーしています。 とくに中国史は圧巻。中国の古代からの強硬体質、中央集権制に目を見張りました。システムは高度に組織化され、事…

17歳のための 世界と日本の見方 松岡正剛 春秋社 ☆☆☆

物語と言葉がうまれ、宗教、文化が生成されるさまを俯瞰しています。現代の世界と日本をみる直接のヒントではありませんが、そのベースを大変わかりやすく案内している本です。

美しき日本の残像 アレックス・カー 朝日文庫 ☆☆☆☆

この国を「醜悪」というのは簡単だ。私は、アメリカ人の著者に「一端を担ったのはあなたの国でしょう」と返したくなる。ただ、日本にくらし、古典芸能に造詣の深い著者に対し、私は何ら自信を持ちえない。日本人であることすら、少しの保証にもならない。手…

戦前日雇い男性の対抗文化―遊蕩的生活実践をめぐって― 藤野裕子

■戦前日雇い男性の対抗文化―遊蕩的生活実践をめぐって― ■〈実践〉の世界へのアプローチ 藤野裕子氏の本研究は、「男性労働者の遊蕩的で無頼的な生活実践の裏に「男らしさ」の価値体系が通流することを明らかにし、それを通俗道徳の欺瞞性に対する対抗文化と…

文明のなかの科学 村上陽一郎 ☆☆☆☆

◆カインとアベル カインとアベルは昼食をともにしていた。明治通りの華屋なるB級中華料理屋。そこで30をとうに過ぎた大人ふたりが、名物の麻婆豆腐を口にするのも忘れ、ディスカッション、というよりは喧嘩を始めた。「Why?」が口癖のカインは顎が割れ気味…