2012-10-02から1日間の記事一覧

戦前日雇い男性の対抗文化―遊蕩的生活実践をめぐって― 藤野裕子

■戦前日雇い男性の対抗文化―遊蕩的生活実践をめぐって― ■〈実践〉の世界へのアプローチ 藤野裕子氏の本研究は、「男性労働者の遊蕩的で無頼的な生活実践の裏に「男らしさ」の価値体系が通流することを明らかにし、それを通俗道徳の欺瞞性に対する対抗文化と…

貧乏サヴァラン 森茉莉 ☆☆☆☆

鼻につくというか、鼻もちならないというか、それでいて、あるいはそれゆえ、愛さずにはいられない。こんな一文がある。欧羅巴人が鳥や獣の肉を食いちらし、獣の血のような葡萄酒の杯を傾ける、一種執拗な、重い感じは、欧羅巴の絵や彫刻、文学、音楽、すべ…

文明のなかの科学 村上陽一郎 ☆☆☆☆

◆カインとアベル カインとアベルは昼食をともにしていた。明治通りの華屋なるB級中華料理屋。そこで30をとうに過ぎた大人ふたりが、名物の麻婆豆腐を口にするのも忘れ、ディスカッション、というよりは喧嘩を始めた。「Why?」が口癖のカインは顎が割れ気味…

腐れ縁のなれの果て

孤独歴の長い私にも腐れ縁というものがある。まずは早起き君、それに続くは不眠君に深酒君、最後に本の虫である。輩がすっかり結託し、今日はまこととんでもない事態となった。本を2冊、小論記事2本を読了。先日、早稲田でのアカデミックな夕食が直接の刺…