ESSAY
いっとき白洲次郎・正子が流行った。なるほどな、と思う。日本は今も「戦後」だ。 私がぼやぼやしているうち、何故か政界は「阿部さんお帰りなさい」モードで、野田さんはといえば、相変わらずむくんだ顔してる。政治と金に私は疎い。
重かった。佐野洋子節に救われてはいるけれど。 ひとりの女性が、自分の生をいきる女であり、ある女性の母であり、戦中戦後の日本の女そのものでもあった。やっぱり、重いんだと思う。うまく云えない。
鼻につくというか、鼻もちならないというか、それでいて、あるいはそれゆえ、愛さずにはいられない。こんな一文がある。欧羅巴人が鳥や獣の肉を食いちらし、獣の血のような葡萄酒の杯を傾ける、一種執拗な、重い感じは、欧羅巴の絵や彫刻、文学、音楽、すべ…